借入先金融機関に完済の申込みが必要になる
ここまで、抵当権が設定されている不動産を売買する場合は、抵当権を抹消する必要があることを解説しましたが、では、親族間売買を行うにあたりどのような流れで抵当権を抹消し、親族間売買を行えばよいのでしょうか。
売主は事前に完済の申込みをする
まずは、融資を受けている(抵当権者)金融機関に完済(売買代金で支払い)をしたい旨の連絡を入れます(この時具体的な日時も伝えておくことが重要です)。そうしますと、金融機関側で抵当権の抹消に必要な書類の準備や、残債の支払いに向けてアナウンスがありますので、それに従い売買契約も詰めていきます。
そして売買契約当日に、買主から支払いがありますので、その代金を売主は完済に充てることになります。金融機関は入金を確認したら、その場で抵当権抹消に必要書類を交付してくれますので、そちらを使用し、抵当権の抹消登記、売買による所有権移転登記(名義変更)を同時に行うことになります。なお、金融機関側は、入金を確認するまでは、一切抵当権抹消に関する書類を交付してくれませんので、売買契約、完済、抵当権抹消に関する書類の受領、抵当権の抹消登記、所有権の移転の登記をスムーズに行う必要があります(基本1日で完了させる)。
司法書士がいないと困る?!
完済の申込みをすると銀行は司法書士の連絡先を確認してきます。決済日に、司法書士へ抵当権抹消書類を手渡しする段取りを組まなければいけないからです。
では、司法書士がいない場合はどうすればいいのでしょうか?実は、銀行は司法書士が関与しない不動産売買は想定していませんから、司法書士が登記をするものだと認識しています。司法書士がいなくとも、抵当権の抹消書類はもらえるかもしれませんが、銀行は抹消書類の段取りが取りにくく嫌な顔をされてしまうかもしれません。
なお、司法書士が入っている場合には、司法書士の連絡先を伝えれば、司法書士と金融機関がやり取りして勝手に進めてくれます。