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法人名義の不動産を親族間売買

親族が代表を務める法人(会社)との親族間売買

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人対人の不動産売買と、法人対人の売買の違い

親族間で売買(人対人)をする場合は、売主、買主でまず売買の内容を決め、売買契約を締結し、同時に登記申請を行えば、基本的な不動産の売買の流れは完了します。

しかし、これが法人対人になると手続きの流れが変わる場合があり、その場合は追加で手続きが必要になります。

今回は、親族間で売買する中で、親族が代表を務める法人と親族が不動産を売買する場合について説明していきたいと思います。

法人の代表(代表取締役、取締役)の利益相反行為とは

親族が代表を務める法人との不動産売買において、どのような手続が追加で必要になるかを説明する前に、まず法人の代表(取締役を含む)の利益相反行為について簡単に説明したいと思います。

 利益相反行為とは、簡単に言えば利益追求とは相反する行為のこと言います。法人、例えば株式会社は利益を出し、その利益から従業員の給料等経費を差し引き、残った利益を株主に配当することを目的とします(利益を追求する必要がある)。この利益を出す行為に相反する行為を利益相反行為と言います。

更に嚙み砕いて言えば、儲けなければいけないのに、わざわざ損する行為が利益相反行為です。では、具体的に利益相反行為とはどのような行為なのか。

利益相反行為に該当する行為

①取締役(代表取締役含む)の借金を会社が負担する債務引受
②取締役(代表取締役含む)が所有する不動産を会社が購入 *不動産に限らない
③会社が所有する不動産を取締役(代表取締役含む)が購入 *不動産に限らない
④取締役(代表取締役含む)が他社で取締役(代表取締役含む)を務めており、その会社との取引を行う

以上、利益相反行為について、簡単に例を挙げました。親族間の不動産の売買で利益相反行為が問題になる場合としては、親が代表を務める会社が子供の所有する不動産を相場以上の価格で購入した場合や、逆に会社が所有していた不動産を子供に相場以下の価格で売買した場合です。
ただ、この場合は、②、③にそのまま該当するわけではありません。
②、③は父親が会社と売買した場合を言っています。親族であるものの子供は会社から見れば、あくまで第三者ですので、そのような理由から、必ずしも利益相反行為になるわけではありませんが、利益相反行為の恐れがある気を付けたい売買であることに変わりはありません。
 

利益相反行為に対する株主総会(取締役会)の承認決議

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では、利益相反行為に該当するが、それでも不動産を親族間で売買をしたい場合は、どうすれば良いのか。

利益相反行為を正当に行いたい場合は、取締役会又は、株主総会で承認を受けることになります(取締役会があればと取締役会。ない場合は株主総会)。
株主会社の目的は、利益を出し、その利益を株主に配当することです。つまり利益を受けるべき株主が承認すれば利益と相反する行為だとしても、良いということが理由です。

なお、取締役は株主総会で選任されることから、取締役会の承認があれば株主の承認があったものとみなせるとして、取締役会がある会社では株主総会ではなく取締役会が承認機関となっています。
 取締役会又は、株式総会の承認がない利益相反行為は無効になります。つまり売買契約を行ってもその売買契約は無効になり、意味をなさなくなります。

手続きが煩雑な法人との親族間売買

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 ここまで説明してきた通り、利益相反行為の場合は、承認機関の承認が必要になります。

親族が代表を務める法人と親族が、不動産を売買した場合は、その行為は代表の利益相反行為に該当する可能性があり、承認を得る手続きが通常の親族間売買の手続きに加えて必要になります。

つまり、売買契約を結ぶ前に予め、その売買の承認を取締役役会又は株主総会で得ておくと、売買及び手続きがスムーズに進みます。
 

まとめ

 実際、親族間売買を行っている法人の代表者の方は、全株主を保有していることが多く、利益相反行為が問題になるケースは多くはありません。

また手続き面から見ても、親族間売買の場合は、第三者との売買にあたり、登記申請にあたり追加で書類の提出は、必要はありませんので、手間が増えることもありません(代表取締役本人と法人が売買した場合は、承認機関の承認を得た証明書が必要になる)。

 ただ、手続きに必要ないからといって、承認機関の承認を得ておかないのは避けた方が良いでしょう。利益相反行為はあくまで無効な行為ですので、後に問題が起きた時に、承認がなかった行為として、追及されるかもしれません。

このように法人との親族間売買は、通常の売買に比べて手続き面で面倒な部分がありますので、専門家に相談されながら進めていくことをオススメします。
 

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