遺言に書いた不動産であっても売買できるのか?
遺言に記載した不動産を売却したい
まず、不動産について遺言を作成しておく意義を、簡単に説明しておこうかと思います。
遺言を作成する1つ目の大きな意義としては、遺言作成者が所有する不動産を、相続させる者を自ら決め、その者に遺言者の死後に、不動産をどのように管理し、受け継いでいってほしいかを叶えることにあります。
つまり、遺言者の意思を遺言者の死後も継続することにあります。これは親族とはいえ、相続人は遺言者本人ではありませんので、遺言者本人の意思を全て理解することは難しいですし、また相続人が複数人になれば、その理解は更に難しくなり、遺言者の意思を汲んであげることが困難になるからです。
遺言者本人の意思を実現させるため以外に、実は、不動産について遺言を作成しておくことに、もう1つ大きな意義があります。
それが、相続開始後の手続きの簡易さです(公正証書遺言)。
不動産の相続登記手続きをする上で、遺言を作成していなかった場合は、遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成します。
更に被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、印鑑証明書を取得し、その後それらを持って、相続登記の申請を行います。
これに対して、遺言の場合(公正証書遺言)は、遺言及び、相続人の戸籍謄本、被相続人の戸籍(除籍)謄本だけで相続登記の申請が行えます。遺言の有無で必要になる書類が少なくなります。つまり、例え遺言の内容が法定相続分通りに、相続人に不動産を相続させる場合でも、遺言があれば相続登記の申請が非常に楽になります。
上記2つが不動産について、遺言を作成する意義になりますが、いざ遺言を公証役場で作成したが、気持ちがかわり、不動産を親族に売買したくなった場合は、どうすればよいのか。