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認知症の家族との親族間売買

認知症の親族と売買できるのか

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売買をするにはしっかりとした意思が必要
不動産の売買契約を締結するには、売主の「不動産を売りたい」という意思と、買主の「不動産を買いたい」という意思が必要です。この意思が当事者にない限り、不動産の売買契約は締結できませんし、その契約は効力を有しません。

そして実際の不動産の売買契約においては、「売りたい」、「買いたい」の意思だけではなく、売買をする対象の不動産の売却価格、売買代金の支払い方法及び支払い日、不動産の引渡しの日、瑕疵担保責任その他何か問題が生じた場合の解決方法などを確認し、決めていかなければなりません。

 このように売買をするとは簡単に言っても、事細かに契約の内容を理解し、決めていく必要があります。親族間売買においてもこれは同様で、親族である売主及び買主は互いに話し合い、契約の内容を細部まで詰めていきます。
つまり、売買契約を締結するには、細かな契約の内容を十分に理解し、その内容で「不動産を売る」、「不動産を買う」、意思が当事者に必要になります。この売買契約を結ぶ、自らの意思が当事者になければ契約の締結は出来ませんし、認められません。
仮に、これを無視した契約は取り消し又は、無効になることがあります。
 

認知症家族の意思能力の問題

 認知症の方が売買をする場合に何が問題になるのかは、ここまでの説明で何となくおわかり頂けたかと思います。

認知症の方の場合は、売買契約の細かな内容を理解し、それを踏まえた上で売買をする意思が本人にあるのかどうか確認することが非常に困難です。
売買の内容を本当に理解しているのか。そもそも「売る」、「買う」意思が本人にあるのか。リスクになり得ることがあるのなら、それを理解しているのか。親族に言われるがままに署名捺印をしていなかなど、認知症の方が売買契約を自らの意思で進める事は非常にハードル高いと言えます。

 ただ、認知症だからといって、絶対に売買することが出来ないわけではありません。しかし、不動産の売買のように、契約で取り決める内容が多く、また、決める事が多ければその分時間も掛かります。更に支払う代金が不動産の場合は、大変高額になります。不動産の売買契約はそれだけ問題が生じた場合の危険が他の売買契約より大きくなりますので、認知症の症状の度合いに関係なく、契約を締結することは難しいのが現実です。

 これらの事から、不動産の売買契約において、契約の当事者に認知症の方がいる場合は、売買契約は結べないと思っておいて間違いはありません。

仮に、売買契約の話を進めても、不動産仲介業者又は司法書士が本人確認をした際に、確実に売買契約の中止を促されます。

ただ、これは親族間の売買の場合には、あてはまりません。親族間の売買の場合は、親族だけで話し合い、手続きを進める事が多く、不動産の専門家が関与せずに売買が行われます。その場合はストップをかける人間がおらず、売買契約が締結されてしまう危険性があります。

 なお、認知症の方が売買契約を締結したとしても、そもそも契約を締結できる状態ではなかったとして契約が無効になりますので、強引に売買契約を締結することはやめた方が良いでしょう。

成年後見制度の利用を検討する

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では、認知症の方は何もできないのか。
これは、「成年後見人の付いた親族との親族間売買」で詳しく説明しますが、認知症の方がいる場合に、その方の財産に関わる契約、その他その方に関する契約がある場合は、後見人が認知症の方の代わりに契約を締結します。
その際、後見人は、認知症の方の財産を守る事を最優先に考え、行動する必要がありますので、場合によっては不動産の売買契約の締結が出来ない場合もあります。

また、後見人は家庭裁判所によって選任されますので、親族以外の方が成年後見人となる場合もあります。
後見制度を使うなら、本当に後見人を立ててまで売買をする必要があるのか一度立ち止まって考えてみることも必要です。

認知症の家族との親族間売買は難しい

 ここまで説明してきた通り、認知症の方が不動産の売買契約の当事者になっている場合は、売買契約を締結することは、ほとんど無理だと考えて差し支えないです。

認知症ではない方でも不動産の売買契約の内容を全て理解するのは非常に大変です。また、契約書への署名、捺印。売買代金の振込み、引渡しが必要な書類の準備など、不動産を売買する際にやらなければならない事は多岐に及びます。これらを認知症の方が理解し、行うのは非常に難しいと言えます。

また、成年後見人の活用も考えられますが、先ほど説明したとおり、後見人と売買契約を結ぶ事は可能でも、後見人の職責上、後見人が不動産の売買契約を行って良いかの判断は、中々難しいです。
だからといって親族間であることを利用し、強引に売買契約を締結することは、親族と言えども詐欺になりますので、絶対にやめた方が良いでしょう。

このように認知症の方の不動産についての売買契約は基本的に行うことはできず(売主、買主どちらも)、可能性は低いですが例外的に後見人となら売買契約をすることができるかもしれないと考えておくと良いでしょう。

何か問題が起きてからでは遅いので、不動産売買に関して1つでも不安がある場合は、専門家に相談する事をお勧めします。

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