成年後見人がいると不動産売買そのものが難しい
先ほど説明したように成年後見人は成年被後見人の財産を守る義務があります。
この義務は思っている以上に厳格で、基本的に成年被後見人にとって必要がない限り、新たな契約を成年後見人は締結することは難しいと言えます。
例えば、施設に入るための契約や入院するための契約などでない限り新たに契約を締結することは難しいと言えます。つまり、成年被後見人の生活をする上で必要となる理由がない限り、親族間で成年被後見人の不動産の売買を成年後見人と結ぶことは難しいです。成年被後見人の生活のために金銭が必要で、その金銭を得るために不動産を売却する必要があるなど、最低限売却をする正当な理由が必要になります。
上で説明したことは、あくまで成年被後見人が所有しているが、その不動産に成年被後見人が住んでいない場合の話になります。親族間売買をする不動産が、成年被後見人が現在住んでいる不動産の場合は、更に売買をすることが困難になります。
成年被後見人が住んでいる不動産は成年被後見人が生活をする上で、必ず必要な基礎となる財産です。その基礎となる財産を成年後見人は守る必要がありますので、現在住んでいる住居を容易に売却はできません。これは法律でも明確に記載されております。そして、更に理由があったとしても家庭裁判所の許可が必要になります。このように成年被後見人が居住している不動産を売買する場合は、売買に正当な理由があろうと家庭裁判所の許可が必要になるのです。
成年被後見人の居住している不動産を売買する場合の家庭裁判所の許可は、成年被後見人の生活、財産を守る上で必要ではない限り認められません。その為、不動産を買いたい親族がいたとしても、その売買が成年被後見人の守る何らかの理由がない限り売買をすることはできません。