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割賦契約(分割払い)とは

分割払いが親族間売買に向く理由とは

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前回の記事で、親族間売買や融資が受けにくいことについて解説をしました。(前回記事:なぜ親族間売買では住宅ローンの審査が厳しいのか

融資が受けれない場合には現金一括で支払う以外に方法はないのでしょうか。
実は、親族間売買は割賦契約の方法が非常に向いています。

割賦契約とは何か。なぜ向いているのか、解説をしていきましょう。

割賦契約とは

割賦契約とは、簡単に言えば分割払い契約のことです。
普通の不動産売買においては、①現金をまとめて用意するか、②住宅ローンを利用して支払うのか、基本的にこの2択しか選択肢ありません(例外は除く)。

現金でまとめて数千万円を用意できる方は世の中ごく希でしょうから、通常は住宅ローンを利用して銀行から借入を行い、その融資を受けたお金を売主への支払いにかえるはずです。

しかし、何度かお伝えしたとおり、親族間売買では住宅ローンの融資がとおりにくいわけですから、融資を受けるという定番の方法は簡単に使えないことになります。

そこで、割賦契約の方法が出てくるわけです。
割賦契約は分割払い契約ですから、現金一括で支払う必要もなく融資もいりません。
とても親族間売買に有用な方法と言えます。

なぜ親族間売買に割賦契約が向いているのか

他人間売買では、分割払いというのは普通はありえません。はじめて会ったような買主にわざわざリスクのあるような分割払いを認めるわけがありませんし、そもそも他の買主を探せばいいわけですから、売主が分割払いを認める理由がありません。

しかし、親族間なら話は別です。
親子や兄弟、甥姪や叔父母など。親族間であれば長年の親しい関係が前提となっているわけですから、信頼関係も当然出来上がっています。売主も買主のために、分割払いを認めることもあるでしょう。
親族間売買は、お互いの信頼関係があってはじめて成立する売買です。売主と買主の気持ち次第で普通ではありえない分割払いが可能になるわけです。

分割払いの場合の所有権はどうなるの?

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この質問も意外と多いので解説をしておきます。

分割払いにした場合、所有権は移転することができるのか?という論点です。
たしかに、この疑問が浮かぶのはわからなくもありません。売買代金が支払われていないのだから、所有権は売主のまま残ってしまうと考えてしまうのでしょう。

答えを言うと、売買代金が分割払いであったとしても、原則として所有権は売主から買主へ移転します。
なぜなら、売買は民法上、売主の「○○万円で売ります。」と、買主の「それ買います。」という双方の意思が成立した時点で所有権が移転するからです。
売買代金の支払いが所有権移転の要件とは、法律に全く書かれていません。

以下の条文をご覧ください。

民法555条(売買)

売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

この条文にあるように、お互いの売買の意思によって売買の効力が生じます(諾成契約)。意思が合致した段階で売買代金の支払いとは全く無関係に所有権は移転しているのです。
実務的に言えば、売買契約書を作成した日に「売買」を登記原因として所有権移転登記を申請することになります。

ただし、他人間のような通常の場合には、売買代金の支払いを条件に所有権移転の効力が生ずる「所有権移転時期特約」という条項があるのが一般的ですので、売買の効力は代金支払いまで生じないような仕組みになっています。

余談ですが、売主から買主に所有権を移転したくないような事情がある場合には、売買代金完済を条件とする所有権移転仮登記をすることができます。
この仮登記をしておけば、買主は安心して分割払いできますし、売主も転売されるリスクを回避することができるわけです。

分割払いのリスクは?

とても有用な方法に思える割賦契約(分割払い)にもリスクやデメリットは存在します。

そもそも分割払いは一方的に売主が不利になる内容ですから、親族間とはいえ売主が納得してくれない場合も想定されます。

また、長期になればなるほど、売主と買主のいずれかが死亡するリスクが出てきます。特に売主が高齢なケースの方が多いでしょうから、もし売主が死亡すれば残代金の請求権を相続人が取得することになってしまいます。そうなれば権利関係は複雑になってしまいますし、相続トラブルになってしまうリスクもあるでしょう。

分割回数は、当事者の年齢を考慮したうえで、可能な限り少ない回数で行うのが望ましいと思います。

割賦契約(分割払い)の親族間売買ならご相談ください

当センターは、使い勝手がいいため分割払いの方法は結構使います。
(そもそも親族間売買は融資利用が難しいから、致し方なく売主に納得してもらって分割払いの方法にしているというのが正直なところです。)

特に説明をしませんでしたが、売主に残債があるような場合には分割払いの方法は利用することはできません。売主は借入時に銀行と金銭消費貸借契約を締結しているはずですが、その契約書の中に、勝手に名義を変更することを禁ずる特約が入っているからです。
この場合には、買主の頭金で完済してもらうか、売主の自己資金で完済してもらうしかありません。

全ての場合において分割払いを行うことができるわけではないということを理解しておいてください。

当センターでは、今まで数多くの割賦契約(分割払い)の方法での親族間売買を解決してきているので、もし割賦契約を使って親族間売買をするなら、当センターまでご相談に来ていただければと思います。

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親族間売買のコンテンツ総まとめ(気になる記事をクリック!)

      
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親族間売買の専門性
①親族間売買の流れと全体像
②対象物件の調査方法
③親族間売買の適正価格の決め方
④売買の条件を決める
⑤親族間売買の方法を検討
⑥売買契約と登記申請
⑦税務申告 
親族間売買の手続き費用まとめ 
親族間売買と「みなし贈与」
低額譲渡による親族間売買と贈与税
親族間売買は住宅ローンの審査が厳しい?
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親子間売買まとめ
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叔父叔母と甥姪の不動産売買の注意点
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親族間売買の契約書と領収書
不動産売買契約書と実印
親族間売買の仲介手数料
親族間売買の親族の定義
親子間の不動産名義変更

②親族間売買の注意点・問題点

親族間売買と住宅ローン審査の難しさ
マンションを親族間売買する注意点

③ケースごとの親族間売買

1.住宅ローン残債がある不動産を親族間売買
2.共有不動産の持分のみを親族間売買
3.相続した不動産を親族間売買
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5.底地を親族間売買
6.農地を親族間売買
7.未登記建物を親族間売買
8.増改築登記をしていない建物を親族間売買
9.認知症の家族との親族間売買
10.建築確認を得てない建物を親族間売買
11.遠方の不動産を親族間売買
12.空き家付きの土地を親族間売買
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14.投資用マンションを親族間売買
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16.権利証を紛失している場合の親族間売買
17.差押えされた不動産を親族間売買
18.管理費を滞納したマンションを親族間売買
19.古い抵当権付き不動産を親族間売買
20.当事者が遠方の場合の親族間売買
21.海外居住の当事者がいる親族間売買
22.不動産会社へ依頼中の不動産を親族間売買
23.遺言に記載した不動産を親族間売買
24.親族名義の土地を購入する親族間売買
25.実印登録をしていない親族との親族間売買
26.入院中・施設に入った親族との親族間売買
27.成年後見人がついた親族との親族間売買
28.自署できない高齢な親族との親族間売買
29.近隣同士が揉めてる不動産を親族間売買
30.分割払いでの親族間売買

④不動産売買の知識

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