親族間売買サポートセンター｜親子間や兄弟間の親族同士の不動産売買をサポート

なぜ親族間の売買に贈与税を課税しようとするのか

　本来売買契約は、自由に契約の内容を決めることができます。１億する不動産でも当事者が合意すれば１円で売買しても違法になるわけではありません。しかし、違法にならないからといって、税金の問題とは別で考える必要があります。
　税務署がなぜ、当事者が自由に決められる売買契約に贈与税を課してくるのか。

それは、相続税逃れを防止するためです。例えば、親が不動産を多数所有している場合は、その不動産は親がなくなると相続税が課されます。しかし、親が生前に子と売買により、所有不動産を全て子名義にしておけば相続時には相続税は発生しなくなります。
親が所有する財産を子にタダ同然に売買すれば相続税を逃れることができ、それを更に子に繰り返していけば一生相続税を支払う必要がなくなり、相続税の意味はなくなります。そのため、税務署は、相続税逃れを意図した売買には贈与税を課します。
ただ、問題は相続税を逃れる意図があったかどうかなど、当事者しか分からないので、客観的に見ておかしな売買金額で売買しているケースには贈与税が発生するようになったのです。
　なお、売買代金を安くした場合だけに贈与税が発生するわけではありません。売買代金を高くした場合にも贈与税は発生します。例えば、親に金銭が多額にある場合、そのまま相続すると高額な相続税が掛かります。その対策として、子が有している不動産を取引相場より高く買い、子に金銭を移動させることにより親は金銭が減り、対価に見合わない不動産を取得します。そうすると安い不動産を基準に相続税を支払うことができ、相続税逃れになります。

税務署が考える「親族」の範囲は？

　ここからは税務署が公表している事実ではありませんので、あくまで推測になりますが、税務署の考える親族とは、相続人になる可能性のある親族だと思われます（但し、金銭や有価証券の贈与は、相手方が誰であるかに関わらず確実に贈与税がかかります）。
民法上の親族は、６親等内の血族、配偶者、３親等内の姻族になります。
例えば、配偶者いて子もいる場合は、相続人になるのは、子及び配偶者です。子がいなければ、配偶者及び両親又は兄弟が相続人になります。つまり、配偶者及び子に関しては、贈与の基準が一番厳しいと思われます。他にも遺言を作成している場合は、遺言で財産を貰う受遺者についても相続人と同じと考えていいかもしれません。

　上記の者に対する不動産の売買はかなり厳しく判断される可能性がありますので、安易に売買契約を締結するのは、リスクが高いと言えます。

親族間売買では売買代金以外にも注意を

　税務署は親族間の不動産売買の売買代金を厳しくみていますが、売買代金以外も気を付ける必要があります。例えば、子の名義で実際に子が住んでいて、今後も子が住み続ける不動産を親が買取る場合です。これらは、別に今買い取る必要がないと言えます。親が住むわけでもないのに、所有者であり居住者の子の不動産を買い取るのかが疑問となります。

このような場合に、税務署は親の金融資産を子に移すために使っていると判断し、要注意と思われてしまう可能性があります。基本的に相続税を回避するための行動については、気を付けなければならないということです。つまり、親族間の不動産売買では、不動産を取得する理由が正当であり、加えて売買価格が一般の取引価格と相違ないことが必要になります。

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